「二千円札」は
必要だろうか
2000年のミレ二アムと、沖縄サミットに関連づけた2000円札の発行が突然決定された。政府によれば、利便性の増加と、新たな需要が創出でき、景気浮揚策としても有効と説明されている。
しかし、現在の経済環境下で、本当に必要性があるのか疑問であり、また、発行に伴うデメリットについては、何も説明されていない。
米国等で20ドル札が重用されているのは確かであるが、これは、100ドルなどの高額紙幣に偽札が多く、信用されていないためで、一万円札が多い我が国とは事情が全く異なる。また、需要の創出では、自販機・銀行のATMメーカーとソフト開発会社に特需が発生する程度で、経済全体への波及効果は殆ど期待できない。
一方、直接影響を受ける銀行や、鉄道会社等にとっては、合理化・省力化等の生産性向上には全く貢献しない設備投資であり、コスト増以外のなにものでもない。
体力の落ちた銀行に新たな負担を負わせるのは、金利やサービスに影響し、さらには公的資金の追加にまで発展する可能性も否定できない。鉄道運賃にも跳ね返り、結果的に国民負担の増加となることも充分考えられる。
新紙幣の発行は、もっと議論をしたうえで決定しても良いのではないだろうか。
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