公務員制度改革案練り直せ

まな板の鯉が、いつのまにかまな板を降り、おいしいご馳走を食べる側にまわっていた。
公務員制度の改革案が明らかになったが、その内容を読んで、呆れてしまった。
この制度改革は「肥大化した官僚組織の見直し」と位置ずけ、キャリア制度の見直し、天下りの抑制、スト権などの労働基本権の付与などが盛り込まれるものと考えられていた。

しかし、示された案は、当初の行革会議の理念とは程遠く、容認しがたい内容となっている。
キャリア制度は面接試験のウエイトを高める程度で、廃止どころか、給与の厚遇と、勤務環境の改善 を目指し、天下りでは、若干の規制強化を盛り込んでいるものの、特殊法人等への見直しは言葉だけで具体性に乏しく、運用面では改革とは無縁になりそうな内容で、労働基本権に至っては、お得意の「先送り」である。これが改革案とは、恐れ入る。

公務員改革を公務員に立案させること自体に無理があることは、当初から言われていたことであるが、現実はまさにそのとうりになりつつある。
ここは原点に返り、あらためて、キャリア制度の廃止、天下りの原則禁止、など、制度疲労を起こしている今の制度を根本から改めるべく、民間人を中心に再度練り直していただきたい。


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