憲法軽視の国会審議を愁う
このところ、憲法の精神を軽視した法案が次々と提案され、その一部は十分な審議も経ないまま、可決成立している。
その一はすでに成立したガイドライン法。自由党の小澤党首の言葉を借りるまでもなく、戦争参加法である。憲法の前文や第9条の「戦争放棄」を素直に読めば、成立することのありえない法律である。
そのニは通信傍受法案。憲法第21条の「通信の秘密」は無に等しくなる。組織犯罪の捜査に限定と言えど、現場の運用次第でどのようにでも拡大解釈され、個人のプライバシーが侵害される可能性がある。憲法第11条に定める「基本的人権」の無視でもある。
その三は介護保険法案。福祉の充実は大切なことであるが、地域ごとに定める保険料が最大5倍の格差となると、憲法第14条の「法の下に平等」とは程遠い。保険料は全国一律が望ましいが、地域差を加味しても2倍まての範囲におさめるべきであろう。この問題は憲法第29条の「財産権」をも侵すことにならないだろうか。
その四は日の丸、君が代法案。君が代は民主主義の理念とは異なる内容であり、法制化に反対する意見が本紙にも多い。
以上はいずれも国民生活にも重要な影響を与えるものであり、このような法案が審議を尽くされないまま成立するようでは、日本の将来が案じられる。慎重且つ徹底した議論を期待したい。
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