カナダ東部を訪ね(その3)・・・メープル街道をケベックへ
今日はケベックへのバスの旅です。ホテル出発は9時の予定、にも拘わらず、バスが
ホテルに到着したのは、何と45分遅れ、今日は何だか不吉な予感が。
ともかく出発、バスはセント・ローレンス川沿いに、先ほどの不吉な予感を拭い去る
ように快調に走ります。このセントローレンス川は、五大湖の一つ、オンタリオ湖か
ら東北に流れ大西洋に注いでいます。5万トンクラスの船も通行できる川で、そのゆ
ったりした流れは、カナダのスケールの大きさの一端を窺わせてくれます。
バスは一時間程走るとメープル街道へ入ってきます。ここまで来ると、きれいに色づ
いた楓が多く見られ、目を楽しませてくれます。ここの紅葉は実に色とりどり、真紅
や鮮やかな黄色、そしてそれが緑と一体となり、絶妙のコントラストを描いています。
絵を描くのが好きな人にとっては、これ以上の画材はないのでは、と思わせるほどで
す。
出発から3時間ほどでケベックへ到着しました。このケベックはフランス人が最初に
カナダに上陸し、開拓していった地であり、今でもフランス系住人が9割を占めるそ
うです。したがって言葉も当然フランス語で、私はチンプンカンプン。でも、レスト
ランや土産物店、郵便局では英語でもOKで、何とか下手な英語で用は足り、やれや
れ。
ケベックの見所は市内の中心部に集中しており、徒歩で充分行ける範囲です。ここで
最も有名な建物は、シャトー・フロントナック。今から100年以上も前に建てられ
た城で、今では超高級ホテルとして利用されています。外観は古色蒼然としたたたず
まいで、その威風堂々とした姿に、これが写真で見た、シャトー・フロントナックか、
と瞼にしっかりと焼き付けておきました。また、この城の前から見る、セント・ロー
レンス川は車窓から見た川とは全く雰囲気が変わり、形容のしがたい美しさがありま
す。
この後、ヨーロッパ風の石畳を歩きながら、議事堂や戦場公園を巡り、絵描き横丁や、
民芸品店を覗き、異国情緒をたっぷり味わうことができました。
楽しかったケベックともいよいよお別れ、さて、帰りのバスに乗り込み出発進行と思
いきや、朝方の不吉な予感が現実のものとなってしまいました。何と、バスのトラン
スミッションが故障で、ギヤが入りません。運転手は必死の思いで、いろいろ試して
みますが、ストライキをおこしたままです。これは大変なことになったと、私たちツ
アー客も心配顔。はたして無事にかえれるやら。トホホ…。
そうこうしている内に、運転手が会社に携帯電話をかけ、会社のメカニックから指示
をうけていました。そして、いろいろ操作した結果、無理矢理ギヤーを入れることに
成功、何とか走り出しました。しかしギヤーチェンジの度に、ガクガクと大きな音と
ともに、車体が振動し、乗っている我々はスリル満点のバスの旅を味わいました。
モントリオールのホテルへ到着後、よくこんな状態のバスで帰れたものだと、呆れる
やら、感心するやら。

写真はシャトーフロントナック
モントリオールからトロントへ