防衛費削減へ環境は整った

5月末に国会で「戦争決別宣言」がほとんど議論もないまま採択された。これはサミットを前に我が国の姿勢を示す意味で行われたようであるが、憲法第9条で交戦権を否定しており、何を今更の観がある。
この時期にこのような宣言を出したのは、「神の国」「国体」発言での与党への逆風を、少しでもかわす狙いも込められているかもしれないが、それはそれとして、宣言をした以上、政策として具体的な形で示していただきたい。

そこで、もっとも国民に分かりやすい政策は、防衛費の削減であろう。
我が国は年間約5兆円の防衛費で、アメリカに次ぎ、世界第2位の規模であり、しかも12年度予算も対前年比増加の傾向にある。一方、米英などは、仮想敵国であったソ連の崩壊もあって、毎年国防費を削減しており、我が国だけが先進国のなかで特異な予算編成となっている。
また、北朝鮮も外国との相次ぐ国交樹立で、平和外交への政策転換のきざしが出ており、緊張緩和が世界的な潮流となってきた。まさに防衛費削減の環境が整ってきたのである。

今更言うまでもなく、国家財政は危機的状況の中にあり、あらゆる部門での削減が求められており、防衛費削減に早急に取り組むことを期待したい。

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